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みなさん、11.30両国では、沢山の応援を頂いていたのにも関わらず期待に答えられず本当に申しわけございませんでした。今更はどうしょうもない事だけどなぜ、あのような試合結果になってしまったのか、ここ最近の自分の思いも含めて語らせてもらいたいと思います。
試合直後は、あー負けた。もう自分の格闘技人生は限界なんだなって思いました。以外に思う人もいるかもしれませんが、ずーっと、ここ最近、格闘技に対して辛い思いが大きかったのです。いろんな物を背負い込んで、いつもギリギリで生活していました。しかし、今、思えばあの時の自分は負けるべくして負けました。一つ言える事は、あの時のあんな試合じゃ、誰とやってても負けていたという事です。
前回、5月の試合で、予想以上に疲れてしまった自分は、近藤選手に疲れる相手という嫌なイメージがついていました。試合は、1R目で始まったばかりなのに、こないだの続きの4R目からやってしまったようなものです。今回は、スタミナ配分を考えて、自分から行く攻撃を避けてしまったのです。これは致命的です。しかも、今回の為に、打撃の工夫や作戦面を近藤選手が苦手なのは何かいろいろ考えていました。考えすぎて、頭でっかちになり、それが本当に出来るのか、尋常ではない緊張が試合1週間前から自分を襲いました。こんな事は今まで一度もありません。自分を自分で追い込んでしまったのです。
しかし、大きなミスでした。一つは、スタミナを意識して待ち状態になってしまった自分は、相手ペースでやらせてしまい、余計に精神的に疲れる、悪い展開を作りました。何をすればいいのか全く分らなくなり、前に出れなくなってしまったのです。一歩も出れなくなるくらい、体がカチカチに止まってしまいました。全く考えられない事です。相手の攻撃を待つ、自分から行かないという事で、自分は何をすればいいのか?自分のやってきたベースを全く忘れてしまったのです。ど素人です。どんなに疲れるからと言っても、待ち状態で、相手ペースでやられるより、自分でタックルに行って疲れた方が、100倍自分ペースなで楽なのです。相手ペースほど疲れるものはありません。
それと、近藤対策で、こうすればいい、ああすればいいと、考え過ぎて、その時点で負けでした。なぜなら、近藤選手がいくら何かの技に対して弱いとしても、自分には前へ出て寝技につなげる事しか出来ない、それが自分のスタイルなんです。最近の、郷野選手のいい所は、誰が相手でも自分のスタイルを完成させてる所です。誰が相手でもやる事は同じなのです。それを僕は、相手が近藤選手だからといって、戦法を変えたのです。僕には、郷野スタイルもできなければ、佐々木スタイルも出来ない、打撃も出来ないし、相手によって、戦法を変えるほど、器用でもない。やれる事は、誰が相手でも、前へ出て寝技に持ち込む事だけなのです。自分がなぜ今まで勝ってこれたのかと言えば、どんなに疲れてヘトヘトでも、どんなに汚い組み付きだとしても、相手の攻撃を無視して、自分のエゴをつらぬき得意な寝技に持ち込んでいたからです。いつもいつも前へ出て、自分から行く事で、勝ってきたのです。
しかし、こないだの試合でそれがないのであれば勝てるわけがない。でも、なぜ今まで30数試合もしてきて、今頃、そんな事に気づくのか、不思議に思う人もいるかもしれないですが、逆に、何十試合もしてきたからこそ、自分を向上させなきゃいけないと、いろいろ考え過ぎてわけわからなくなるものなのかなと今回、思いました。戦う事を複雑化させてしまったのだと思います。戦いは本当はシンプルです。しかし、これからの自分のやるべき事がはっきり見えてきました。
僕は、変わっていく時代の流れに合わせて、いろんな事を取り入れて生きて行く生き方ではなく、がんこなこだわりの職人になりたいのです。
自分の好きな寝技を、道場で毎日一生懸命練習し、鍛練し、毎日同じ事を何百回も繰り返して、そして、それを試合で試す。
それだけです。それが僕の仕事なんです。
たとえ、大きなボブサップが相手でも、自分より打撃の苦手な選手が相手でも、やる事は一つだけなのです。
日々、稽古した寝技を試すだけです。周りも関係ありません。誰が何と言っても寝技が通用するのかしないのか、それだけです。
ここ最近の練習は、何か違っていました。相手の弱いものをついてやろう、打撃も出来なければいけない、カッコ良い技を使う選手がいれば、自分もあんな事やってみたい。でも、いろいろ何をすればいいのか模索している練習は本当の意味の練習にはなりません。自分には寝技しかないんだから、それ以外はないからです。考え方もそうです。
最近は、負けちゃいけない、盛り上げたい、大きな会場ばかりで緊張する、ベルトが重い、グラバカの看板もある、いろんな雑念が入っていました。でも、そんなことじゃなくて、リングは自分の一番強いスタイルを、一番練習してきたものを試すだけの場所なのだと思います。試合をする意味、戦う意味、練習の意味が、ようやく分ってきました。どこに出れば目立つとか、会場が小さい大きいも関係ない、自分の鍛練してきた技をリングで試すだけなのです。
たとえるなら、靴職人が、自分の得意な靴を毎日一生懸命作って、それを完成させる。自分で言えば、寝技の部分です。一生懸命練習して、それを発表する、それより上も下もない。なのに、こないだは、靴職人が、一番得意なものでなく違う、ビーサンで勝負して負けたようなものですね。要するに、こないだの試合の一番のダメな所は、自分の本質、本道が見えなかった所です。それがないのでは、自分から負けに行ったようなものです。なので、ファンの人も納得できなかったと思います。自分の道がはっきりと見えている試合だったら、負けたって納得できていたと思います。たとえ、寝技に持ち込めなかったとしても、前へ出て、タックルに行って、絶対寝技で仕留めるんだという姿勢が見えていれば、まだ自分の中の納得度も違っていたでしょう。
ベルトなど、いろんなものが重くのしかかり、精神的にかなり最近はヘトヘトになっていたのは事実です。練習も試合も何も、楽しみを見出せないでいました。でも、今回の試合で分かりました。自分のやるべき事が。あの試合は、後悔しようもないくらい、自分の事をしていません。近藤選手は確かに強かったけど、はっきり言って、あれでは、自分から相手に勝たせてしまったようなものでしょう。
これからは、アブダビで勝った時のように、自分の寝技が通用するのかどうなのか、シンプルに初心に戻り、自分のエゴをつらぬき通したいと思います。
絶対に、もう一度、近藤選手とやって勝ちたいと思います。
自分が引退を決める時は、負けが続いた時ではなく、自分の寝技が通用しなくなる時です。
ずっと、応援して頂いていたファンの人には本当に、ここ最近、スカッとした試合がなくて申し訳なく思います。しかも、今回は若い時でさえ一度もなかった
、大変な取り返しのつかないミスをしてしまいました。それが、一番大事な試合で出てしまった。寝技もいつになく万全だったのにです。考え過ぎてしまったという、ちょっとした事が、2度の対戦の内容をこんなにもというくらい変えました。
真剣勝負は、時に残酷です。しかし、それがリアルで現実です。作り物ではないからすべてがうまくいかないのも人生です。でも、だから、その緊張感がたまらないし、勝った時にかけがえのない物を得れます。
大事なのは、負ける事から逃げない事。負けた後に逃げない事です。今回、負けた事を、事実としてしっかり受け止めて、また生まれ変わって必ず戻ってきますので、応援宜しくお願いします!
菊田早苗
2003年12月4日
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